Interview 会員インタビュー

立川市役所 副市長 小林 健司

「変わりゆく立川、守るべき価値」 新たな都市型観光の未来へ

立川市社会福祉協議会事務局長から2023年、副市長に着任した。街が激変した時代、自治体職員として長年、都市基盤整備に従事した小林さんは、今後の立川の観光施策には「街一体となったホスピタリティの向上が大切になる」と話す。
長野県上田市生まれの小林さん。大学進学で上京するまで、広大な美しい自然が広がる信州で育った。大学卒業後、服飾メーカーの営業職に就いたが、「地域の街づくりに携わりたい」と1983年、立川市役所に入職した。当時、立川基地が返還され、跡地に「国営昭和記念公園」「立川広域防災基地」「ファーレ立川」の計画が立ち上がり、街が大きく変わろうとしていた時代。入職後、すぐに都市計画課に配属され、若手職員として地権者交渉などで奔走し、街の開発の下支えをした。その後、立川市は区部への一極集中する構造を変える業務核都市にも指定され、国の機関の移転や多摩都市モノレールの開業が決まるなど、町の基盤整備も加速。町を訪れる人々が急増していった。
軒を連ねた活気ある商店街の町から、大型商業施設が立ち並ぶ落ち着いた都市へと変貌する様を、自治体職員として間近で見てきた小林さんは、故郷である長野県が新幹線や高速道路の開通などで観光に沸く中、地域コミュニティが分断されていった経験を思い返す。「町として生き残るための施策も大切。だが、その一方で、二度と戻らない価値あるものを失ってしまうこともある」と述べ、立川の観光発展にはハードだけでなく、ソフト面の充実が欠かせないと考える。  
「この街で生まれ育って、勤めて、立川で人生を終えて本当に良かった。そんな風に街に対してプライドが持てる立川にしていきたい」と副市長としてのビジョンを語る小林さん。「外から訪れた人たちに、暮らす人々が自分たちの町の魅力を誇らしげに語ってもらう。そんな街づくりが今後ますます重要になってくるのだと思う」と話してくれた。

立川市役所 副市長 小林 健司